EADE is DEAD

冥銭持たずに門前払い

裏返るアドマイヤフライト

ダイヤモンドS ◎アドマイヤフライト

前走日経新春杯は年を跨いだこともあり1週前月曜坂路、土曜CW、当週木曜坂路と変則的に追い切りを消化。基本的に坂路メインでCWでビッシリ追うのはレアケースだけど、この時はまだ"表坂路"の形を保っていた。ところがこの中間の坂路は2週前水曜の52.5以降は脇役で、1週前金曜CW6F78.7、当週水曜CW6F80.0と表は完全にCWに転換。この2走かけてヌルっと裏返る感じがなんともアーティスティックであり、刻むラップにも澱みがなくまるでホームコースのよう。天皇賞ヒルノダムールと同じく栗東坂路で11秒台のラップを刻む変態型マンハッタンカフェ産駒でもあり、太めを叩いて調教パターン裏返りの二段モデルチェンジで変態面の発揮に期待する。

単複 アドマイヤフライト

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折り紙付きのドゥラメンテ

共同通信杯 ◎ドゥラメンテ

慎重を期しながらも想定通り中1週で駒を進めたドゥラメンテ。11月の頭以来の出走となった前走にしても強い攻めで仕上げてはいないし、圧勝劇の疲れがないのならニコイチ的見方で良い。当週はこれまでとは異なり坂路で追って14.8-14.8-12.9-12.8の55.3を計時。坂路の異質感と存外時計を出すのねという思いがありつつも、すっと納得させるその佇まいはまるで"折り紙"のよう。

3連単 1着2着ドゥラメンテ,アヴニールマルシェ → 3着リアルスティール,ミュゼエイリアン,ソールインパクト 計6点

京都記念 ▲スズカデヴィアス

キズナハープスターの2強ムードの中、挑戦者らしい強気の攻めを見せているのがスズカデヴィアス。中間は速いところを4週で5本とボリューム満点のメニューを消化。大盛りであっても決して大味ではなく、当週は坂路で13.7-13.2-12.2-12.2と洗練されたラップを刻んで自己ベストタイをマーク。陣営談話からは前々で競馬をしそうな雰囲気もあり、逃げ先行からの粘りは坂路調教馬の本領。

馬連 スズカデヴィアス - キズナ,ハープスター 計2点

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凜としてロッカフラベイビー

クイーンC ◎ロッカフラベイビー

1番人気が予想されるロカは強く追えば頭一つ抜けた字面を示せる素地がある。大型の割にカイ食いが細いとの談話があった前走から一転して良く食べているようだけど、長距離輸送による馬体減りを懸念してこの中間はやわらか仕上げ。ビシッと追ってのシャープさが欲しい。

ロカはロカでもロッカフラベイビーに注目。430kgの馬体で新馬から2戦は稽古にも手心を感じた。やや間隔の開いたこの中間は本数こそ多くはないけれど南Wで長めから外側を回すなど陣営の気構えにも変化が見られる。馬なりの併入で派手さはないもののラップには一本芯が通っていて、馬群を割り、不利を受けても盛り返すレースぶりもまた凜凜しい。

単複 ロッカフラベイビー

f:id:LeZele:20150213211619g:plain 母父ジャングルポケットで齊藤四方司氏っぽい配色ですね

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拡張性のあるルージュバック

※収まりが悪いので記事のタイトルを変更しました。

はてなへ引っ越し。何か記しておかないと何も思い出せないのでぼちぼちと。

きさらぎ賞 ◎ルージュバック

ホームコースは南Wの内寄り。速いラップが出やすいが、長めからしっかりやりつつもレース同様に余裕綽々ぶりが想像される好内容。キャリア2戦の現状においてもこのコース取りが精一杯な風でもなく、クラシック戦線を駆け抜ける中で外側へギアを上げる拡張性もある。水曜の追い切り以外も一定の負荷を散りばめ、内寄り馬なりといった軽い字面とは裏腹に牡馬相手でも見劣りしない剛健さが感じられる。

3連単 ルージュバック→アッシュゴールド,ポルトドートウィユ→アッシュゴールド,ポルトドートウィユ,レガッタ,グリュイエール

東京新聞杯 ◎フルーキー

前走京都金杯の調整過程は年末年始も相まってテクニカルな感じだった。レース後は乗り出しも早く、乗り込み量や攻め具合からは再構築再燃焼で軌道に再投入のイメージが沸く。興味があるのは馬格があって坂路で11秒台のラップを刻んだことのあるディープ産駒ヴァンセンヌ。馬が福永騎手を御するアレは重賞でも通用する?

単勝 フルーキー

本日より消費税は8%に 栗東坂路の勾配も3%増へ

日本中央競馬会トレセンの厩舎施設利用料について、本日より施行される3%の消費増税分を転嫁せずに据え置くと発表した。表向きは勇退とされながらも実態としては廃業の相次ぐ厩舎経営に配慮したと見られる。他方、栗東坂路の勾配を3%増加させることでバランスを取る。

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一見税金と坂路の勾配には関係がないように思える。その実、全く関係がない。増税の取り扱いを協議する中で「3%キッチリ上乗せすべきデース!」「だからー、3%からは、逃げられないって!」「パーセントの母はタケユタカ。胸が熱いな」などの声があり、宙に浮いた3%の行き場を坂路の勾配に求める斜め上の調整力が働いたという。

現行の栗東坂路は最大勾配4.5%、高低差においては32メートルと戦艦に例えるなら金剛改の全幅に匹敵するスケールを誇る。(何かと槍玉に挙げられる美浦坂路は最大勾配4.688%ながら高低差は18メートルで重巡青葉改と同等。だがそれがいい。) 勾配は4段階に分かれており、計測区間に掛かる前2段階を0.5%ずつ、減速区間の後2段階を1%ずつ増加させることで合わせて名目3%増を達成する見通し。これにより最大勾配5.5%、高低差約39メートルの超弩級坂路が誕生することになる。当然、第二次大戦時のパナマ運河は航行できない。

孔子曰く過ぎたるは猶及ばざるが如し。大き過ぎるものは得てして大味になってしまうもの。しかし、依然として艦隊これくしょんが人気を保ち、遠く中東はドバイの地で大和屋暁氏所有のジャスタウェイが46センチ三連装砲の如き破壊力で世界を驚嘆させた今この時に、大艦巨砲主義を彷彿とさせる超弩級坂路が誕生するのは時代の要請なのかもしれない。

栗東坂路を単体有料化 新たなICカード「Kurisaca」導入へ - EADE is DEAD

栗東坂路を単体有料化 新たなICカード「Kurisaca」導入へ

日本中央競馬会(JRA)は定例会見において、栗東トレーニングセンター坂路コース(栗東坂路)を施設使用料のパッケージから外し、単体として使用料を課すと発表した。安倍政権が掲げた経済政策アベノミクスなど一連の要因により為替相場は昨年末から円安傾向にあるが、この余波を受けてウッドチップ部材のひとつ輸入アカマツの調達コストが増加。折しも馬場状態の長期安定化が難しい状況にあってチップの入れ替え需要は鰻登り。JRAとしても苦渋の決断を下さざるを得なくなった。

使用料は月額制ではなく登坂単位で課金する従量制を採用。チップの劣化は登坂数に比例し、厩舎の方針によって使用頻度にも大きな開きがあるため従量制で公平を期す。それに伴い使用料を決済するためのICカード「Kurisaca(クリサカ)」も併せて導入される。栗東坂路では昨年5月30日より旧来のバーコードに替わってICチップ読み取り方式による採時を行なっており既存の設備を流用可能とのこと。

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とはいえ、流用可能を謳うなら登坂データから使用料を計算すれば僅かな人的コストだけで済むはず。JRA-VANユーザーを中心に「俺でもできる」という声も聞こえてきそう。もちろん定例会見でも大庭騎手のイン突きのように鋭い質問が飛んだ。しかし、担当者は臆するどころか待ってましたと言わんばかりのドヤ顔で「全国交通系ICカードと相互利用できます!」とぶち上げた。

先月23日、JR東日本Suica等全国各地の交通系ICカード10種の相互利用が始まったのは記憶に新しい。そこにこのKurisacaが加わるという。鉄道、バス、そして馬――日本初の私鉄は馬が客車を引く馬車鉄道だった。それを思えばこの流れは必然なのかもしれない。配布された資料には「栗東坂路(Kurisaca)→JR西日本(ICOCA)→京都市営地下鉄(PiTaPa)→近鉄(PiTaPa)→京阪(PiTaPa)→淀」と1枚のICカードでシームレスに京都競馬場へと移動できる例が示されている。これを見た時、かつて中央と地方の交流が強化されたいわゆる開放元年当時に似た興奮を覚えた。安藤勝己がターフを去りし時、ライデンリーダーに思いを馳せた諸兄なら共感して貰えるだろうか。

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筆者は福岡市営地下鉄ICカードはやかけん」を所持している。だが、地元民でありながら、いや、地元民だからこそ方言と平仮名と平凡なデザインのハイテクカードに少なからぬ恥ずかしさを感じていた。Kurisacaは競馬サークルだけではなく、そんな地元のICカードに不満を抱く全国津々浦々の栗東坂路ファンをも取り込む可能性を秘めている。さあ、はやかけんを窓から捨てよう。そして、Kurisaca導入記念カードを手にすべく応募ハガキをポストに投函するのだ――

※Kurisaca導入を記念してJRAが誇るキラーコンテンツ「ウマドンナ」とコラボした記念カードをプレゼント!ご希望の方はハガキに住所、氏名、年齢、電話番号、好きな栗東坂路調教馬を明記の上、栗東トレセン内坂路小屋「ハーツクライわしが育てた」係までご応募ください。4月1日消印有効。橋口弘次郎調教師による厳正な抽選の上当選者を決定いたします。なお、当選者の発表はエイプリルフールステークスの発走をもって代えさせていただきます。

利用者減少に歯止め JRAが栗東坂路の改装を発表 - EADE is DEAD

栗東坂路史

時折加筆。情報の抜けは多々あります、ご了承ください。

 
1965年12月 滋賀県栗太郡栗東町長と日本中央競馬会理事長との間で「競走馬調教場用地売買斡旋に関する基本契約書」を調印
1969年  夏 調教コース5本の内2本*1と厩舎の一部*2が完成し人馬の移動が始まる
1970年--月 Eコース(ダート)完成
      12月 全ての人馬の移動が完了
1976年--月 テンポイントを管理する小川佐助調教師が坂の重要性を主張*3 調教コースに坂を造ることを要望する
        夏 Eコースの直線に坂が造られる
1981年--月 戸山為夫調教師、ワカテンザンにハードトレーニングを課す。当時所属の小谷内秀夫騎手の記憶によれば、師独自の理論によるハードトレーニングを施された最初の馬らしい
1983年10月 栗東トレセン9代目場長に古川定石氏(前美浦トレセン業務部長)が就任
1984年--月 新設された一周360m、幅員6mの追馬場にウッドチップを初めて導入
1985年11月 坂路コース完成(全長394m 幅員7m 勾配3.5% 16億5290万円) 以降、Dコースにウッドチップが導入されるまで「チップコース」と呼ばれる
1987年 8月 坂路コース用追馬場新設
       9月 古川定石場長退任(9月まで在任)
      12月 坂路コースを全長710mに延長(6億8580万円)
1988年 3月 26日に行われた阪神競馬のメインレース京橋ステークスをマリビクトリー(戸山為夫厩舎)が制し坂路調教馬初勝利
       4月 坂路入りした馬の名前がマスコミに公表されるようになる
       6月 調教タイム自動計測装置 ALIS の公開実験が行われる
       8月 北九州記念(G3)をタガジョオー(松元省一厩舎)が制し坂路調教馬重賞初勝利
      --月 原口牧場が丘を切り拓いて放牧地を増設。放牧地までの道のりは"坂路"になっており、ミホノブルボンもこの道を通ったという
1989年 4月 原口牧場にカツミエコーの初仔(父マグニテュード)が誕生 後のミホノブルボンである
       9月 Dコース(芝)を半分に仕切ってウッドチップを導入
      10月 調教タイム自動計測装置 ALIS を設置
1990年 9月 坂路コースを全長785mに延長
      12月 橋口弘次郎調教師がリーディングトレーナーを獲得 後に「坂路のチップコースを使ったからリーディングが獲れた」と語る
      暮れ 戸山為夫調教師、当歳時にミホノブルボンを預かる契約をしていたことを失念 思い出してからは飼養管理などアドバイスを送る
1991年 3月 ウッドチップ浸出液を浄化するため汚水処理施設を新設*4 
       8月 デビュー直前のミホノブルボンが500m29.8秒の栗東坂路レコードタイを計時 90年に当時4歳のセンリョウヤクシャが同レコードを樹立)
       9月 カメラ席を新設
1992年 5月 栗東坂路の申し子ミホノブルボン東京優駿制覇
      11月 坂路コースを下方へ延長(総延長1,085m 高低差32m 最大勾配4.5% 12億1703万円)
           自動散水設備設置
1993年 5月 坂路調教の先駆者戸山為夫調教師死去
      11月 戸山為夫調教師の"遺産"レガシーワールドが同師の元で調教助手を務めていた森秀行新調教師に受け継がれジャパンカップを制覇
2001年10月 ALISに異常発生 午前7時の開門から約23分間読み取り不能になる
      11月 ナイスキングオーが栗東坂路レコード48.8秒を樹立 栗東坂路初の48秒台
2003年10月 栗東坂路調教馬スティルインラブ牝馬三冠を達成
2004年 7月 栗東坂路の父古川定石元場長*5死去
2006年 6月 ジョイフルハート栗東坂路レコード48.0秒を樹立
       7月 ウッドチップ換装 7月10日(月)~8月21日(月)の予定より1週間早く作業を終える
       9月 経年劣化による老朽化に伴いALISのセンサーを更新
2007年 8月 スティルインラブが小腸の腸重積のため繋養先で死亡
       9月 落雷によりALISが故障 終日一部のラップが採時されなかった
           オペラボイスが登坂中に心臓麻痺を発症 坂路は20分間閉鎖される
2008年 5月 坂路の地下道で幽霊が出たという噂
      10月 降雨時に大幅に時計が掛かる馬場状態にご立腹の橋口弘次郎調教師がトレセンに対し改善を直訴 翌週には原因となるチップが取り除かれ改善された
2009年 1月 ウッドチップ入れ替え 1月5日~6日
       5月 坂路元帥ジョイフルハートが引退
       6月 集中豪雨により坂路及び逍遥馬道が一日閉鎖される 雨による閉鎖は開場以来初の珍事
      10月 月刊優駿の表紙を栗東坂路が飾る 同誌公式サイト曰く「トレセンで撮影したカットを表紙にするのって、おそらく1999年5月号以来のことだと思います。たぶんですが。」とのこと
           Dコース外周(旧DW)にニューポリトラックを導入
           第41回安曇野観光草競馬大会に参加し両前脚を骨折した馬がジョイフルハートではないかという情報あり 真偽は不明
      11月 メイショウホウオウJRA-VANが提供している2003年以降の坂路調教データにおける最多登坂1781本を記録
2010年10月 国枝栄厩舎(美浦)のアパパネ牝馬三冠を達成 関西圏のレースに出走する際には早めに栗東に移動して坂路で鍛えられた
2011年 1月 ALISに異常発生 同日の調教時計は9時4分以降しか採れず
      10月 栗東坂路調教馬オルフェーヴルが三冠を達成
2012年 3月 ウッドチップの入れ替え 3月24日~4月23日
       5月 バーコードに替わりICチップによる計測が導入される(30日)

*1:1450m障害芝馬場、1600mダート馬場

*2:厩舎110棟2152馬房

*3:「関東馬が強いのは東京競馬場中山競馬場に坂があり、そこで日ごろから鍛えているからだ」

*4:逍遥馬場、ウッドチップコースのチップも併せて処理する施設

*5:馬事部獣医課長、調整室次長、中山競馬場競走馬診療所長、美浦トレセン競走馬診療所長、美浦トレセン業務部長、栗東トレセン場長、日本中央競馬会理事、及び日本スターティングシステム株式会社、競馬飼糧株式会社、新和サービス株式会社の社長、会長を歴任