EADE is DEAD

冥銭持たずに門前払い

栗東坂路を単体有料化 新たなICカード「Kurisaca」導入へ

日本中央競馬会(JRA)は定例会見において、栗東トレーニングセンター坂路コース(栗東坂路)を施設使用料のパッケージから外し、単体として使用料を課すと発表した。安倍政権が掲げた経済政策アベノミクスなど一連の要因により為替相場は昨年末から円安傾向にあるが、この余波を受けてウッドチップ部材のひとつ輸入アカマツの調達コストが増加。折しも馬場状態の長期安定化が難しい状況にあってチップの入れ替え需要は鰻登り。JRAとしても苦渋の決断を下さざるを得なくなった。

使用料は月額制ではなく登坂単位で課金する従量制を採用。チップの劣化は登坂数に比例し、厩舎の方針によって使用頻度にも大きな開きがあるため従量制で公平を期す。それに伴い使用料を決済するためのICカード「Kurisaca(クリサカ)」も併せて導入される。栗東坂路では昨年5月30日より旧来のバーコードに替わってICチップ読み取り方式による採時を行なっており既存の設備を流用可能とのこと。

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とはいえ、流用可能を謳うなら登坂データから使用料を計算すれば僅かな人的コストだけで済むはず。JRA-VANユーザーを中心に「俺でもできる」という声も聞こえてきそう。もちろん定例会見でも大庭騎手のイン突きのように鋭い質問が飛んだ。しかし、担当者は臆するどころか待ってましたと言わんばかりのドヤ顔で「全国交通系ICカードと相互利用できます!」とぶち上げた。

先月23日、JR東日本Suica等全国各地の交通系ICカード10種の相互利用が始まったのは記憶に新しい。そこにこのKurisacaが加わるという。鉄道、バス、そして馬――日本初の私鉄は馬が客車を引く馬車鉄道だった。それを思えばこの流れは必然なのかもしれない。配布された資料には「栗東坂路(Kurisaca)→JR西日本(ICOCA)→京都市営地下鉄(PiTaPa)→近鉄(PiTaPa)→京阪(PiTaPa)→淀」と1枚のICカードでシームレスに京都競馬場へと移動できる例が示されている。これを見た時、かつて中央と地方の交流が強化されたいわゆる開放元年当時に似た興奮を覚えた。安藤勝己がターフを去りし時、ライデンリーダーに思いを馳せた諸兄なら共感して貰えるだろうか。

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筆者は福岡市営地下鉄ICカードはやかけん」を所持している。だが、地元民でありながら、いや、地元民だからこそ方言と平仮名と平凡なデザインのハイテクカードに少なからぬ恥ずかしさを感じていた。Kurisacaは競馬サークルだけではなく、そんな地元のICカードに不満を抱く全国津々浦々の栗東坂路ファンをも取り込む可能性を秘めている。さあ、はやかけんを窓から捨てよう。そして、Kurisaca導入記念カードを手にすべく応募ハガキをポストに投函するのだ――

※Kurisaca導入を記念してJRAが誇るキラーコンテンツ「ウマドンナ」とコラボした記念カードをプレゼント!ご希望の方はハガキに住所、氏名、年齢、電話番号、好きな栗東坂路調教馬を明記の上、栗東トレセン内坂路小屋「ハーツクライわしが育てた」係までご応募ください。4月1日消印有効。橋口弘次郎調教師による厳正な抽選の上当選者を決定いたします。なお、当選者の発表はエイプリルフールステークスの発走をもって代えさせていただきます。

利用者減少に歯止め JRAが栗東坂路の改装を発表 - EADE is DEAD